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30代の一級建築士・施工管理技士を採用するには、「応募をさせない」ことが必要

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以前こんなエントリを書きました。

要は、「施工管理技術者は超忙しいから、採用力のない企業ほど面接に来てもらうのではなく会いに行って話を聞いてあげると採用できるよ」というものです。

このノウハウは確かに有効なのですが、問題が1つ。

「40代以上のベテランは採用できるが、“30代・一級資格保有者”といったベストターゲットが採用できない」ということ。

正直この層はスーパーゼネコンでも喉から手が出るほど欲しい人材であり、なかなか採用できません。

それを中小ゼネコン等で採用するのは無理ゲーかと思っていましたが、最近ようやく新しい解を出せたのでご紹介します。

目次

「30代一級建築士・施工管理技士」について徹底的に調べてみた

まずは相手を知ることが重要。ということで、あらゆる方法で彼らの転職における動き方を調べてみました。

以下エントリでも書いた、採用決定者インタビューの内容も参考にしています。

転職サービスに登録はしていない“転職潜在層”である

彼らは現職においてもまさに働き盛りであり、中核社員であることは間違いありません。そのため現職中の方が9割以上であり、離職中の方はほぼ見当たりません。

また現状はどのゼネコンも好調で工事量が多く、「残業が多い・休みがない」等の就業環境に対する不満こそあれど、すぐさま転職となるほど現職に対しても不満があるわけではありません。

そのため彼らは、転職市場に出てくることは稀なのです。市況感的にも、企業が彼らを離さないということもあるでしょう。

焦ってはいないものの、漠然とした将来不安がある

しかし、諸手を挙げて現職に居続けることをよしとしているわけではありません。彼らは2020年以降のマーケットに対して、不安を抱いています。

具体的には、「オリンピック後も今のような建築需要が継続するはずがない」ということ。

特にリーマンショックを経験し、自身に影響がなくても同僚や先輩が職を失ったり会社が倒産したりということを目の当たりにしてきた方は、「いつまたそういう状況に陥るかわからない」というリスクを常に念頭に置いています。

38歳の方であれば、もし10年後に不況で会社が倒産すれば48歳で転職市場に放り出されることになるはず。そこからの再就職の厳しさは、優秀な方ほどイメージできるはずです。

また、子どもがいる方であれば大学へと進学する時期だったりもします。お金が必要な時期に転職先が決まらないというリスクも感じるかもしれません。

企業へ応募こそしないものの、求人情報はチェックしている

上記のような不安から、「このままでいいのか」と思い、空き時間に情報収集の一環として求人情報をチェックしているようです。

これは不況に弱そうなゼネコンにいる方(民間の新築マンションしかやっていない等)ほど顕著です。それだけ不安が大きいということでしょう。

上記の調査からイメージするペルソナ

■水野 秀樹(38歳) ※仮名 一級建築施工管理技士資格保有

新卒で新築マンションメインの中堅ゼネコンに入社。リーマンショック時に会社が傾き、倒産こそは免れるも当時の年配社員がリストラになる姿を目の当たりにしている。現状は工事量も多く業績は好調だが、国内の新築マンション施工数は2020年以後右肩下がりになることが予想されており、5〜10年後はどうなるかわからないと思っているが、すぐに転職するまででもないし、忙しくてそれどころではない。子どもは小学生で、これからお金のかかるタイミングであることもあり、自身の経験や資格を活かしながらも安定性のある会社であれば検討したいと内心思い、隙間時間にはスマホで転職サイトを閲覧だけしている。登録まではまだする気はない。

この水野さん(仮名)を採用するにはどんな方法が有効か

・求人広告は掲載するが、そもそもサービスに登録していないため応募はできない前提
・「登録しなくていいから、一回お茶でも行こうよ」と告知。つまり、応募させるのではなく、メール等連絡先だけ入れておいて、そこに連絡があった方の都合のいい場所まで会いに行く
・会ったときには、今後の建築マーケットとその方のキャリアについて腹を割って話をする。けして面接はしない。
・すぐに採用できなくても、人材リストとして記録し、定期的に連絡を取る
・求人広告でなくても、誰でも参加できる転職フェアとかなら水野さんも参加する可能性あり

実際に、30代の一級資格保有者を採用できている企業様にヒアリングすると、上記の仮説(ペルソナ)は間違いないとのこと。

転職市場に簡単に出てくる方ではないので、接点を取れる場所をなんとか作っていくようにしているようです。転職フェアもその点から毎回参加をされているとのことでした。

広告内容の工夫だけでなく、採用ターゲットの動き方に合わせて企業との接点をどうとるかまでアレンジする必要がある


採用ターゲットの動き方に着目すると、「転職サービスにすら登録していない」ということが見えてきました。

そこで「応募させる」という発想から「接点を取る」という発想へ変換。転職サイトだからこそ、多くの潜在層の目に触れ、直接お会いする機会を取り付けられる可能性が高まります。

広告のデザインや訴求内容を工夫することはもちろん重要ですが、企業に採用決定するまでの道筋をイメージし、組み立てていくことがこれからの求人広告制作者にはより求められるでしょう。