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「30代後半・施工管理技術者」のインサイトを見つけました

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以前のエントリーで、施工管理技術者の採用手法について書きました。

これは確かに効果的な手法ですが、実際に採用できているのは45歳以上のベテラン技術者なんですよね。

「どうしても30代を採用したい」という企業はやっぱり多くありました。

そこでなんとか要望に応えたいといろいろ実践した結果、ひとつの貴重なインサイトに行きつき、採用成功を実現することができました。

そのインサイトの内容と、実際に訴求したキャッチコピーを紹介しようと思います。

目次

そもそも「インサイト」ってなに?

以下記事がすごくわかりやすく説明してくれています。

その中からポイント部分を引用。

インサイトとは簡単にいえば「消費者のホンネ」である。もっといえば消費者のなかにある「思わずその商品が欲しくなる"心のボタン"」をさす。そのボタンを押されると、思わず行動を起こしてしまうような“何か”である。

インサイトに関して、米国のマーケターがよく言う事例で「あなたのご主人がハーレーを購入したいと言い出したら、それは更年期にさしかかったという証拠だ」というものがある。

このご主人は、ハーレーという自動二輪が買いたいのではなく、本当はハーレーをエネルギッシュに乗りこなす、失いつつある「若さ」が欲しいのだ。よって「若さが欲しい」という気持ちに刺さるような広告を打てば、購買に繋がるかもしれない。

つまり、「上場企業へ転職したい」「待遇をあげたい」という目先の転職理由はインサイトではありません。

「定年まで安心して仕事を続けたい」とか、「老後をゆったり過ごせるだけの余裕が欲しい」といった、いわゆる心の本音がインサイトであるということですね。

試行錯誤の上、ようやく決定した施工管理技術者へインタビューを実施

とある煙突専門の施工会社を担当させていただいた時のことでした。

あらゆる採用ターゲットを想定し、ペルソナも考えて、訴求ポイントも随時変更していたのですが、なかなか採用決定ができず……

しかしある原稿で30代後半の施工管理経験者がついに採用できたのです。

「こんな貴重な機会はめったにない!」と思い、採用決定者に入社後インタビューさせていただく機会をいただきました。

30代後半・施工管理技術者(男性)のインサイトはなんだったのか

その方のご経歴は、

・新卒で中堅のゼネコンへ入社
・リーマンショックの煽りで会社が倒産
・転職先が少なく、施工管理から離れて製造業へ転職
・その後景気が少し回復し、マンション施工会社へ転職
・煙突専門の施工会社へ転職→イマココ

前職のマンション施工会社でもかなり忙しくされており、案件も順調に受注ができているようで業績も好調とのこと。

最初は、施工管理技術者によくある「就業環境を改善したい」という転職理由かな?と思いながら話を聞いていたのですが、どうやらそういうわけでもなさそうでした。

転職者「確かに残業や休日出勤も多くありましたが、給与にも満足していて絶対に転職をしないといけないという状態ではなかったですね。」

ぼく「じゃあなぜこのタイミングで転職を?」

転職者「10年後にも同じような環境で働けるとは思わなかったんです。新築マンションは今こそ好調ですが、人口減少などを背景に新築案件の施工数は右肩下がりの状態です。かつオリンピック以降の見通しが非常に立てづらく、現状のままであれば先細りするのは明らかです。」

ぼく「それは◯◯さんだけが考えていることですか?それとも業界的にみんなわかっている?」

転職者「うすうす理解はしていると思いますが、リーマンショックの影響をモロに受けた方でなければ危機感は薄いでしょう。私はその影響を受けて会社が倒産したので、自分でどこでも生きていける力をつけておかないとマズイということは肝に銘じています。一時製造業にやむなく転職したときは、家族をやしなっていけないと思うほどに給与もかなり減りましたから。」

つまり、ただ安定した会社に入りたいのではなく、どんな市場環境になったとしても求められ続けるだけの力をつけたいというのが本音であり、インサイトだったようです。

この施工管理技術者にブッ刺さった求人原稿キャッチコピー

「2つとない煙突を守る、20人といない専門家」

煙突はぱっと見全て同じように見えますが、それぞれ一品一様の独自性を持つものです。

それを新築〜メンテナンス、そして解体まで1社で行える会社は、国内でもこの転職者の方が中途入社した会社以外にはほぼありません。

転職者の方いわく、「このコピーと煙突の画像を見て、ここでなら独自性の高い技術者になれる」と思っていただいたそうです。

当然求人原稿の中には、バブル期に建てられた煙突のメンテナンスに各企業が苦心していること、それをこの会社なら1社で解決できることなど、少なくとも今後数十年は求め続けられる会社であることを記載しました。

求人原稿をどのように見ていったのかもお伺いしましたが、まずキャッチコピーと画像に惹かれて詳細を見ていき、上記のような「この技術が求められ続ける理由」までしっかり読み込んで納得されたそうです。

まとめ

転職理由をいっぱい集めて、それを解決しようとする求人広告は多くあります。

施工管理技術者の募集でも、「残業◯時間です!」とか「転勤ありません!」といったメリットばかり並べる広告が主流ですが、それは施工管理技術者のインサイトを表面しか理解していないものなのでしょう。

表面的な要望の裏に隠れているインサイトをいかに引き出し、そこに響く訴求ができるのか。広告制作者としては永遠のテーマと言えそうです。