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Googleの求人広告に学ぶ、インサイトのとらえ方

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この写真は2004年にシリコンバレーの高速道路沿いに掲出されたGoogleの求人広告です。

業界内では結構有名な話らしいのですが、恥ずかしながら最近になって知りました……

この広告が実にインサイトをとらえていると感じ、そこから「どうやってインサイトをとらえた求人広告を作成するか」を改めて考えて整理してみました。

目次

この求人広告を作ったGoogleの狙い

ちょっと長いのですが、ほぼ原文を下記本より引用します。


21世紀の初頭において、理系でスーパー優秀な学生が
IT企業に就職しようと思ったら、グーグルではなくて、
マイクロソフトやヤフーを選んでしまう人がたくさんいた。
当時のグーグルの課題は、優秀な成績で卒業した
理系の学生に入社してもらうことだった。

普通の広告会社がその課題を解決する仕事を請負うと、
理系の頭のいい人がターゲットの就活広告をつくることになる。
例えば数学と物理ができる人が見ているだろうウェブサイトに
バナー広告を張ることを提案し、
そこにどんなコピーを書こうかみたいな話になっていくと思う。

しかし、グーグルはそうは考えなかった。
どうやったら彼らが動くかということだけを真剣に考えた。
「スーパーブレインズ」と呼ばれる
物理とか数学が非常にできる人がどんな生活をしているかを調べると、
授業中に非常に難しい問題を解いているだけでなく、
授業が終わった後も、ひたすら難問を解き続けていることに気づいた。

数学的や物理的な問題もあるし、
クロスワードパズルとかクイズだったりする。
そういう難問を解きたいという気持ち(インサイト)がある
ということを見つけて、ある制作物をつくった。

これはボストンにある、マサチューセッツ工科大学の
最寄駅の改札口に張った横断幕だ。
そこに何を書いたかというと、
「First 10digit prime found in consecutive digits of e.com」である。

「グーグル」という言葉はどこにも書いていない。
この文章は何度も読んでいるが、
はっきり言って全く意味がわからない。日本語に訳すと
「自然対数の底eの中から最初に連続する10桁の素数.com」である。

このコピーとも言えない文章が、
クリエーティブとして優れているところは、
最後に「.com」がついていることだ。
ウェブサイトがあるということがわかる。

ここに書いてあることは、物理好きや数学好きな人からみたら
「これ、俺が解かなきゃ」という気持ちになるという仕掛けだ。
すぐに家に帰って、PCにかじりついて
この問題を解き始めるようになるのである。

これは大変な難問で、コンピューターの解析ができないと
全く解けない問題だ。正解をこのサイトに入れていくと、
グーグルの採用サイトに代わって、
「ようこそグーグルへ。あなたを採用します」ということになる。
当時、僕らはコミュニケーションによる課題解決とはこういうことだと思った。

広告においてどれだけたくさんの人に接触できるか
というリーチやフリークエンシーの概念は大事だが、
それ以上にレリヴァンシーがすごく重要な時代になるという示唆がある。
レリヴァンシーというのは関連性。
つまり、「このメッセージは自分のために発信されている」と
受け手が感じるかどうかだ。

インサイトをとらえた求人広告を作成するためのポイント3つ

1.採用すべきターゲットを明確にしている

上記Googleの例では、「物理と数学が非常にできて、授業が終わった後もひたすら難問を解き続けている人」と明確に採用ターゲットを設定している。

これが簡単そうでなかなかできないもので、よく遭遇するダメな例は「若くて元気があれば誰でもいい」みたいなターゲティング。

確かにそうなんでしょうが、ひとえに若くて元気といってもいろんな人がいますよ。体育会系出身者のような人なのか、ただ性欲が強くて元気とかw

やっぱりまずは「どこにいるどんな人」を具体的にするところから始めましょう。

2.設定した採用ターゲットの行動心理を研究する

採用ターゲットを明確にできたとしても、それはスタート地点に立ったにすぎません。

肝心なのはここから。ターゲット人材が日々何を考え何を好むのかなどをとことん研究します。

Googleの例では、物理や数学が非常にできる人材は授業外でも難問に挑戦していて、学問以外にもクロスワードパズルやクイズも好んで解き続けていることに気づきました。

そこまで研究できたからこそ、ターゲット人材がつい食いついてしまう「自然対数の底eの中から最初に連続する10桁の素数.com」というクイズ形式の広告にいきついたのです。

3.この求人広告自体が、採用選考代わりになっている

この大変な難題を解いた人のみが採用サイトにアクセスでき、「ようこそGoogleへ。あなたを採用します」ということになる。

つまり、問題を解けない人はそもそもサイトにたどり着けない。

Googleからすれば、その時点でスクリーニングをかけることに成功しているのですね。

よく「とにかく門戸を広くして応募数を増やし、書類選考で厳選する」という手法を取る企業を見ますが、非効率なだけでなく会社の評判を下げかねないやり方であるということに気づいていません。

雑多に応募を集めた結果、書類選考で大多数の方がお見送りとなり、「なぜ自分はお祈りされたのか」という不信感ばかりが募ることになります。

BtoB企業ならまだしも、BtoC企業であれば応募者=ユーザーである可能性が非常に高いため、ここの不信感が会社の信頼に直結するのです。

そういう意味でも、「厳選された応募者をいかにして集めるか」ということがいかに重要かが理解できるでしょう。

まとめ

つまり、インサイトをとらえた求人広告を作成するには、以下3つのポイントを押さえることが重要です。

1.採用ターゲットをこれでもかというくらいに明確化する(ペルソナ)
2.設定した採用ターゲットの志向性を徹底的に研究・観察する
3.採用ターゲットが見たら反応せざるを得ない広告内容を検討する

大半の企業は1の部分でつまづいてしまっているはずです。

ぜひ1度自社の採用背景を見直して、どんな人材を採用すべきかを明確にするところからスタートしてみてください。そしてそれを率先して提案してくれる優秀な人材営業マンと付き合うことをオススメしますw