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「求人広告の営業マンはレベルが低い」と、ある社長に言われました。

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「求人広告の営業ってイケてない人多いよね」と、営業時代にある社長から言われました。当時は「ぼくに対するあてつけか?」くらいにしか思ってなかったのですが、今になってその意味がわかってきたので、その理由を考えてみました。

 

数字に追われて「採用成功」という本質を追求できなくなる

「求人広告の営業として、何をお客様に提供するべきですか?」と質問されれば、おそらくほぼ全員が「採用成功」とか「クライアント企業の発展」などと答えるでしょう。しかし、いざ現場に放り出されて数か月するうちに、目の色を変えて売上ばかりを追うようになります。

 

その理由は「ノルマ」。日々組織では日商だの今月の見込みだのといったコミュニケーションが行われ、達成できない人はダメ営業の烙印を押されます。これは求人広告に限らずどの業界の営業も同様ですね。

 

採用成功を追求するためには「掲載後フォロー」が必要です。求める人材から応募はあるか、面接できているか、内定辞退されてないか……効果的に採用活動ができているかをチェックし、時には改善することが求められます。

 

ここがこの仕事の重要ポイントですが、掲載後フォローでは直接的な売上を上げることができません。あくまで売上は広告収入であって、掲載後フォローでコンサルフィーがもらえるわけではないのです。しかし長期的に見れば、こういった行動はクライアントから支持され、リピートで広告の発注をいただけるようになります。

 

ただ悲しいかな、 人間は目先の利益に弱いモノ。掲載後フォローをしている時間があれば、新しいお客様のところへ広告を売り込みに行く方が売上が上がると思いこんでしまっているのです。

 

「採用成功こそが提供するべき価値だ」と頭で分かっていても、日々ノルマに追われることでいつしかその思いが薄れていき、広告枠を売るだけの“モノ売り営業”になりさがってしまうのです。

 

採用成功へ導くためのノウハウを深めていけない

提供するべき価値が「採用成功」でなくなってしまった彼らは、「どうすれば(短期的に)売れるか」ということばかりを考えていきます。するとその対策として「商品説明ロープレ」とか「提案ロープレ」といった研修ばかりが組まれ、いかに自社の求人広告サービスが優れたものなのかを説明することに集中します。サービス自体にはそんなに他社と違いはないのに…です。

 

そうすると、本来採用成功に向けて必要なことがどんどん抜け落ちていきます。お客様の事業内容や採用背景なんて一切気にならないし、採用ターゲットとなる転職者が何を考えているかを知ろうともしません。

 

企業・転職市場・転職者。採用のプロとして、最低でもこの3つの観点で情報やノウハウを蓄積し、採用力を高めていかなかればならないのに、これらの専門知識はいっさい深まることなく見せかけの提案やプレゼンばかりがうまくなるありさま。「これこそ営業の仕事」とばかりに値引き交渉に従事している人は漏れなくここに当てはまります。

 

人材流動がはげしく、経験を積み上げられない

人材業界は流動がはげしい業界です。ある会社では350名の新卒を受け入れましたが、3年後には半分しか残っていないほどの離職率でした。

 

ぼくは新卒で人材業界に入って9年目になりましたが、この業界ではもはや古株。それくらい人の入れ替わりがはげしいのです。それでも、最近は就業環境などもかなりマイルドになったので、離職率はかなり低くなり、10年戦士も増えてきました。

 

採用成功率を高めるためには、多くの実践を通じて経験値を高めることが欠かせません。知識の習得はがんばれば短期間で可能ですが、経験値を増やすには時間が必要です。3年程度で人が半分も入れ替わってしまっては、いつまでたってもレベルが底上げされないのです。

 

まとめ

広告営業をやっている人の能力が低いとは思いません。むしろ学歴も高く、コミュニケーション能力もあり、思考力に優れた方が多いと感じます。個人要因というよりは環境要因が大きく、力を伸ばし切れていないというのが実情です。

 

「自分は求人広告営業として成長できているんだろうか」と不安に思ったときは、まず自身の「採用成功力」がどれだけあるのかを冷静に考えてみてください。自信を持って「ある!」と言えない方は、営業スタイルそのものを変えた方がいいです。もしくは、売上に加えて採用成功率などを人事評価軸に入れている会社へ転職することが一番早い解決策かもしれません。